HEART&HARD 2   HE HAS NO WORD


 いきなり目の前に現れた飛影の瞳に、心臓が止まりそうになった。
いつのまにか飛影が幽助の顔を覗きこんでいた。
「どうした?」
問い掛けてくる紅い瞳を間近に見て、見透かされているようでドギマギする。飛影はそん な幽助の様子を眺めてから、口を開いた。

「欲情しているのか?」

「・・・な・・・・・っ・・ななな・・・っっ」
とんでもない一言に、幽助は口をパクパクさせた。
「何言い出しやがんだてめえはーっ!」 「違うのか?」
「ちげーよっっ!馬鹿野郎!何で俺が欲情すんだよ!」
「同じ匂いがする。」
 「…匂い・・・?」
「蔵馬が俺を抱く時と、同じ匂いだ。」


 鼓動が、跳ねた。

その言葉に初めて、自分の全身が熱くなっているのに気付く。
鼓動が、どんどん早くな っていた。
どんなに頭では否定しても、早鐘のように打つ心臓と身体の熱は否定のしよ うがなかった。

 ごまかしはきかない。飛影にも、自分にも。

「・・・そっか。」いつの間にか口がカラカラになっていた。
「身体の方が・・・・・・素直だよな。」そう、苦笑しながら呟く。
「どうする…?」
 飛影の問い掛けに、顔をあげる。目の前に血の色の瞳。

「俺を…抱くか・・・・・?」
 挑発するようなその声が引き金になった。


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