HEART&HARD 2   HE HAS NO WORD


 すいよせられるように口づける。
飛影は、何の抵抗もなくそれを受け入れた。
・・・・柔らかい唇の感触。その柔らかさを確かめるように、何度も、何度も、キスをする。
 何度目かのキスで、するりと飛影から舌をからませてきた。ためらいのない、慣れた動き。

 ああ。そうかこいつ、蔵馬と寝てんだっけ。
それを思った瞬間、少し胸のどこかがきしんだ
。 しかし、からまってくる小さな舌の柔らかさに、何も考えられなくなる。
こんな深いキスをしたのは初めてだった。頭の芯がくらくらする
。  熱に浮かされたように飛影を強く抱き締め、そのまま、そばのベッドに倒れ込んだ。
ついばむように軽く、唇で触れていく。
瞼に、頼に、それから首筋へ下りてゆく。鎖骨を軽く噛み、胸の筋肉のラインをたどる。
そうしながら、両手を背中にまわし、ゆっくりと手のひらをと遣わせ、くまなく触ってゆく。
背中から、腰へ、そしてズボンのベルトを外して脱がせながら、さらに下へと手を遣わせる。
 飛影の肌はなめらかで、子供のようだった。いくら触れても足りないような気持ちで、がむしゃらに全身にふれていく。何度も深く唇を合わせ、舌を味わう。



 あまり、男を抱いている、という気持ちはなかった。

飛影は自分の事は何も語らない。言葉では何も知ることができない。
だから、言葉の代わりに、飛影に触れる唇や指からの方が、余程確かに飛影のことが伝わってくる気がして。

 もっとこいつを知りたい。
身体でも、心でも、もっともっと。
全身でこいつ自身を知り たい。


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